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パンとバターとハンバーグ









「離婚届け提出してきた」


職場でお昼ご飯を食べている時、奥さんからラインが入った。

僕はしばらくそのメッセージを眺めていたが、程なくパソコンをカチャカチャといじりはじめた。

調べ物をしていた最中で、そして食事中だ。
少ない自由時間を有効に使いたいと思った。

調べ物の目当ては直ぐに見つかった。

「面白そうな科学館があったんだ」


昨日、奥さんはそう言っていた。
だいたいの場所を言われたが、僕には思い当たるところが無かった。


「ああ、これか」

僕はモニターに表示されたホームページのリンクをいくつか確認した。
なるほどと、思った。

つい最近、家族でテレビを見ていろいろと盛り上がった素材がテーマだった。


僕はしばらく考えて、そして奥さんにラインの返信をした。


「昨日言っていた科学館見つけたよ。子供達に良いかも」


程なく奥さんから返信が入る。

「ああ、それだ。今度、子供達と行ってみよう」



僕たちは仲が良い。
今までずっとそうだった。
昨日だって、一昨日だってそうだ。
一週間前だって、一ヶ月前だって。

そして、これからだって。


僕は再びラインを返す。


「そういえば、バター、今朝のパンに使って無くなったよ。」


奥さんからは了解と直ぐに返信がきた。

確か、今晩のおかずはハンバーグだと言っていた。

月末で忙しいけれど、早々に退社するには十分な言い訳だ。

僕は再び仕事に戻る。
早く定時にならないかなと考えながら。




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そして僕は途方に暮れる









「離婚したいんだ」


奥さんからの切りだしは、唐突で、そしてとても深刻なものだった。
僕はきょとんとしてしまい、最初は理解がうまくできなかった。

奥さんは奥さんなりに悩んでいたようで、そしてその悩みを僕だけが理解できていないようだった。

幾つかの要因があるなかで、最大の要因は僕のコミュニケーション能力不足のようだった。

不足という表現だと聞こえが良いのかもしれない。
むしろ「欠如」と言った方が的確か。

薄々の自覚はあったが、奥さんにしてみれば、耐えがたい問題であったということ。
一緒にいる必要性を自分自身に感じられないようだった。


「あなたは誰も必要としていない」

それが結論だった。




それでも、僕は何が起こっているのか解らない事だらけで、奥さんの実家にも連絡をし、一人訪問をさせてもらった。

御両親も当初より僕のこの欠点が気になっていたようで、娘より相談があった際、改めて認識し直したとの事。
なので、娘に賛成です、と。

いよいよ深刻な事になっていると考え、自分の両親にも相談をしてみる事にした。
こんな事は人生で初めてかもしれない。

初めて知った事実として、奥さんは僕より先に僕の両親に相談をしていた。
泣きながら話していたと言って、両親はそろってうつむいた。

両親にしても、僕の得体のしれない何かを認識していたようで、これについては否定もなにもなく、「我慢をしてあげて」と奥さんにお願をしたそうだ。

いよいよ僕は途方に暮れる事となった。




「離婚してもいいよ」

僕は仕事中、奥さんにラインを送った。

「了解」

奥さんからの返信は味気ない。

そして僕たちは離婚届けを書き上げた。





この事は、先の記事の公園に遊びに行ったときに、既に二人の間で協議中であった事。

「久しぶりに、一緒に公園に行こうよ」

提案は奥さんからだった。

子供たちははしゃぎ、奥さんと僕はいつものように他愛の無い話題で盛り上がった。

何がいつもと違うのか、僕には理解できないでいた。
たぶん、それが良くない事の一つなのだろうと思う。
けれど、正直なところ良く解らない。

「情緒が不安定なのかも」

奥さんのご両親も僕の両親も、奥さんについて同じ事を言っていた。
その原因が僕の人間性にあるとしたら、解決する方法は一つしかない。

現時点、離婚届けは奥さんの手の中にある。

「好きな時に提出すればいいよ」

そう、奥さんには伝えてある。
奥さんは少し安心したようだった。




こんな事情で、ブログを長らく休んでしまった。

少し気持ちが落ち着いたので、再開しようと思う。
当面ブログはさかのぼり記事ばかりだと思う。
そして、当面の記事は、こんな背景の際の出来事だという事になる。

「変われますか?」

奥さんの御両親から尋ねられた。
正直、僕は変われないと思う。
何がどう駄目なのかが自覚できていないからだ。

「誰にでも欠点はある。だけど、補えきれない」

奥さんはそう言っていた。

不思議な事は、そんな最中も毎日がごく普通に来ると言う事。
そして、明日には別々の生活をする事になるかもしれないということ。

「正解がわかりません」
僕が言う。

「正解なんてないのよ」
奥さんの母親が答えた。

明日の事も正解も、誰にも解らないという事か。
だとしたら、僕に出来ることは何なのだろう?








いらっしゃいませ
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子どもたちとのお出かけ記録。

これからの方々の参考になれば幸いです。

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