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プレゼント











「何折ってるの?」

僕が次男に尋ねる。
次男はせっせと折り紙をしていた。
次男は以前からそうだ。

時々思い出したように折り紙を始める。
奥さんはそんな次男を見て、折り紙の本をプレゼントしたりした。

次男はもらった本を見ては、首をかしげながら折り紙を折る。

「こうかな?」

そんな感じで。

「何折ってるの?」

僕は再び尋ねる。
けれど、次男は黙々と作業を続けた。




「できた」

少しして、次男が言った。

「どれ?」

僕は次男の作品を覗き見る。

「何?これ」

僕は尋ねた。
ぱっと見、良く解らなかった。

メダル



「メダルだよ」

そう言って、一つを僕に渡してくれた。

「それ、父ちゃんの。あげるよ」

僕にさし出した作品は、青色のなんとなく丸い形のもの。

「父ちゃん、青色好きでしょ」

次男はそう言った。

「もうひとつは誰の?」
「母ちゃんのだよ。母ちゃん、紫いろ好きじゃん」
「へー、作ってくれたんだ。でも、なんで?」

次男はにこにこしながら、けれど少し黙ってからこう言った。

「父ちゃんと母ちゃん、いつもがんばってるし、仲良くやってるしね。だからメダルを贈呈するよ」

そう言って、次男は紫いろのメダルをテレビの上の棚に置いた。

奥さんが仕事から帰ってくるのは夕方だ。



きっと、喜ぶだろうな。



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わんぱくを集めるネバーランド

仙元山公園③
※ どこにでもありそうで、でもなさそうな、けれど懐かしくもあった





● 仙元山公園(わんぱくランド)
● 場所:埼玉県深谷市上野台2567番地
http://city-fukayakousha.com/bigturtle/wanpaku.html
● 休園日:基本木曜日のようですが、ホームページでご確認ください↑
● 開園時間: 9:00~17:00
● 料金
  ・入園:無料
  ・遊具:50円~
● 駐車場:無料
● 遊び時間:半日~1日



「ビックタートル」と呼ばれる体育館脇にある、割と小さい公園。
公園と言っても、一般的な遊具はフワフワドーム以外無い(笑)

けれど遊園地でもなく、、、、

比較的大きい公園にある一部の、しかも偏った遊具だけを意図的に集めたような構造になっている。
雰囲気はローカル色が漂い、どこか懐かしい感じ。

地域に点在する一般的な公園ではちょっと物足りない、けれど大型アスレチックでは遊びきれない、そんな小学生低学年にはちょうどよく遊び倒せる場所かもしれない。










次男の髪が女の子のようになる前の、つまりは、現在の髪形の原型だった頃への遡り記事。







公園の全体図をインターネットで見つけた時、「?」な印象だった。
これは、立派なのか?しょぼいのか?

わんぱくランド



まあ、行けばわかる。
何事もそう。

昔の人は良い事を言うもんだ。

百聞は一見にしかず
百見は一考にしかず
百考は一行にしかず
百行は一果にしかず

聞くより見て、見てるだけではなく考えて、考えてるだけでなく行動し、最後に成果を出すのが正解だ。

だから僕らは、トロピコの街を目指す。

たどりつてみると、なるほど、古びて重々しい城壁が公園の全貌を隠していた。
何も無いと言われても、壁の向こうには何かあるに違いないと思うのが冒険だ。
前のめりに駆け出す次男が頼もしい。

仙元山公園⑭

城壁を抜けると、そこにはやっぱり公園があった。

仙元山公園⑥


直ぐに遊びだそうとする次男を制し、とりあえず腹ごしらえ。
父ちゃん手製の弁当は、いつだって美味しいのだ。

仙元山公園⑫

と、言っても、遊びたくてしょうがない次男はお弁当をかきこんで、さっさと遊び始めた。
ゆっくり、良く噛んで食べないとデブになるぞ。
いや、若干手遅れだな。

手始めはフワフワドーム。

仙元山公園⑮

ほどほど汗をかいたら、公園のランドマークである「グラススライダー」へ。
無料ではなく、30分50円。
有料だが優良。

手始めに防具を貸してくれる。
結構くたびれた防具で、正直あまり意味が無いように思えた。

ようは気の持ちようだ。
つまりは、気をつけろよと言う事か。

仙元山公園⑦


グラススライダー利用にあったってのポイント。

複数人同時に滑る事は禁止されていた。
その禁止が伝わらず、僕と次男は競争しながら滑ったが、管理人に大目玉をくらった。
ごめんなさい。

でも、先に言ってよ、、、。

仙元山公園④


グラススライダーは僕ら親子貸切状態だった為、短時間で結構な本数をこなした。

まあ、遊具はまだある。
例えばこれ。

仙元山公園②

面白自転車。

仙元山公園⑪


30分、高校生以上200円、中学生以下100円。
まいどあり。




気が付いたが、割と体を使う遊具が多い。
まあ、公園だし。

次男は少し疲れ出す。
だから、食べてゴロゴロばかりじゃだめだって言ってるじゃん。

ちょっと休憩をしつつ遊べる遊具。
その名はバッテリーカー。
1周100円。
まいどあり。


仙元山公園⑨


幅広いサーキットを疾走。
あなどってはいけない。
意外と長い。
1周300メートル。
残念だが事実として、大概の大人が全力疾走できる距離では無い。

・・・と、これにておしまい。






実際そうなのだが、次男が一番夢中になったのがこれ。

仙元山公園⑩

輪投げ。
しかも無料。
ふともも!

いや、しんちゃん、「太っ腹」だよ。

先に言っておけば、無料だからではない。
次男と僕は、輪投げをひたすらやりつ続けた。
もちろん、その行為の先に悟りがあるわけでもなく。

つまりは、一緒に遊ぶのが楽しかったからだ。

仙元山公園①

時々思うのだが、子供は案外、特別な遊び場を好んでいる訳ではないという事。
遊び場に連れて行ってもらって、好きなように遊ばせてくれるより、何も無い広場でも、親が一緒に遊んでくれる方が楽しいのだなと。

だから、僕らはいつまでも輪投げをして遊び続けた。


「父ちゃん、一緒に鬼ごっこして遊ぼうよ」

遊具がたくさんある大きな公園でも、長男は必ずそう言った。

一緒に遊んでもらうのが一番楽しい。

つまりは、たぶんそういことだ。


どこに行くかなんて、頭を悩ます事は必要ないのかもしれない。

この日の次男を見てそう思った。


さて、次は何して遊ぼうか?


仙元山公園⑧








ネバーランドは理想郷ではない













「早く大人になりたいなぁ、、、」

長男がなんとは無しに言う。

休日。
僕ら家族は、久しぶりの大型アスレチック公園に向かっている最中で、車は軽快に街道を進行していた。
僕が目的地に向かう道順を間違えた事はだれも気が付かず、「空いてるね」などと言いながら機嫌にハンドルを握り、うっかりミスを誰にも気づかれないように鼻歌などを差し込んでいる時だった。

「なんでさ?」

僕が尋ねる。

「ほら、色々自由じゃん」

なるほど。
長男目線だと、どうやら大人はそういう風にみえるようだ。

「今の発言、大人になったら撤回すると思うよ」

僕が言う。
奥さんもケラケラ笑った。

「オレ、大人になりたくないな」

突然、次男がそう言った。
車は甲州街道から、神奈川方面に向かった進路に変えるところで、ちょうど信号待ちだった。

「父ちゃんは、そう言う人、一人知ってる。なんだっけ、、、、ああ、思い出した。ピーターパンだ」

「ピーターパンシンドローム」

奥さんが笑いながら付け足す。

「理由があるんだよ」

次男は真面目な顔をしている。

「なんで?」

僕が尋ねる。
車はようやく本来の目的地である横浜方面にノーズを向けた。
僕のちょっとしたミスは、たぶん誰も気が付いていないはずだ。

「オレが大人になったら、父ちゃんと母ちゃんはいなくなっちゃうじゃん」

「?」

僕と奥さんはきょとんとする。
長男はスマホで仲間内でのラインを楽しんでいて気にもかけていない。

「オレ、父ちゃんと母ちゃんと、あとお兄ちゃんと、いつまでもずっと一緒にいたいんだ。だけど、オレが大人になると、父ちゃんも母ちゃんもいなくなっちゃうでしょ?」

次男の言う「いなくなる」が何を意味しているのかは理解できた。

なるほど。
次男にとって、今を幸福と捉えているなら僕と奥さんは満足だ。
けれど、ずっとこのままは有りえない。
いずれにせよ、いつの日か僕と奥さんを解放してくれない事には報われない(笑)

「母ちゃんが、一つ予言をするとしようかな」

おもむろに奥さんが言う。

「けっこう当たるやつ。いい?君たちが大人になったら、お父さんとお母さんに向かってきっと言うんだよ。「うざい」ってさ」

そう言いって、奥さんはケラケラ笑いはじめた。

まあ、たぶんそうだな。
その予言はなかなかの高確率であたるような気がする。

「お役御免だよ」

その時はそんな風に言われたいな。
そして、こんな風にもね。

「いままでありがとうな」

なんてね。


次男よ。
安心しな。

もう少しだけ、父ちゃんも母ちゃんも一緒にいるからさ。

そんな事より、今日のアスレチックはかなり大きいし、楽しもうよ。
天気もとびきり良いしね。

何しろ、父ちゃんも母ちゃんも、そしてお兄ちゃんも一緒なんだから。



最高に幸せでしょ?













エースを狙え!









「とうちゃん、オレ、テニスをしてみたいんだ」


次男が唐突に言う。

いつだってそうだ。
予測していない言葉に僕はいつも翻弄させられる。

いいかい、僕は血液型はA型で、しかも典型的なタイプなんだ。
想像していない発言には上手に対応できない。
しかもテニスとは、、、、。

それは休日の事。

その日は奥さんがパート仕事で、僕はと言えば、掃除を終えた後、取りこんだ洗濯物を畳みながら夕食は何にしようと考えていた時だった。
いつだってそうだ。
僕は予定を立てて行動する。
なぜなら、予定がたっていないと不安になるA型だからだ。

「だめだよ、父ちゃん、これから晩御飯のしたくがあるし、お母さんだってもうじき帰ってくる。しかもお腹を空かしてだよ。ご飯の準備ができてなかったから、この世の終わりみたいに肩を落とすよ」

実際にそうだ。
奥さんと次男は、大概の事には我慢ができるが、空腹だけは次元が違う。
お腹がすいたら、急ぎの予定をキャンセルしてでもお腹を満たすことを優先するのだ。

僕はいつだって翻弄させられる。
空腹を満たすことが優先され、予定が容赦なく書き換えられる。
もう一度言うよ。
僕はA型なんだ。
しかも典型的なやつ。

「えー!やりたいやりた」

次男が駄々をこねる。
それもかなりこねくり回し始めた。

どうしたものかと僕は思案する。
洗濯物をきちんと片づけ、てきぱきと夕食の準備を行い、そしてのんびりとお風呂に入って、あとは奥さんの選ぶテレビ番組を見ながら楽しく話をするのだ。
世の中の幸福とはそういうもので、それが平和的な家庭だと考える。

「だめだよ」
「えー、じゃあ、お母さんが帰ってきて、聞いてみる。いいよって言ったらいいでしょ?」

うーんと僕は腕組をする。
もうすぐ隕石が地球にぶつかる。さてどうしたものか?と考えるように。

「まあ、じゃあ、そうしよう。お母さんに聞いてみてよ」

そう言って僕は洗濯物の後始末を続けた。




「行ってきなよ。ご飯やっとくから」

仕事から帰ってきた奥さんは、テレビゲームのスイッチをONしながら気軽にそう言った。
わーいわーいと次男が飛び跳ねる。
許可は下りたが、僕はしっくりしていない。

奥さんも長男も次男もバトミントンをやっている。
だから、バトミントンをがんばって欲しいと思っているし、その為の援助は惜しむつもりはない。

本当の事をいうと、長男にも次男にもテニスをやらせたかった。
けれど、奥さんが好きなバトミントンを家族共通の趣味として選択した。
そして、僕はテニスを家族で楽しむ事を封印したのだ。

とは言っても、僕はいつもこっそりとテニスの練習を一人で行っている。
休日の夕方には、公園で、なかなか寡黙な壁を相手に、ボールをぶつけてはラケットを捌く。
フットワークに衰えが来ないように、いつだって、声さえかかれば試合にでれるように仕上げているつもりだ。

「父ちゃんは、テニスができるんでしょ?」

次男が言う。

「いや、できないよ。父ちゃんはバトミントンの方が好きだし、テニスなんかよりバトミントンをがんばって欲しいと思っているよ」
「えー、でも、休みの日、いっつもテニスラケット背負ってどっかにでかけるじゃん」
「父ちゃんはランニングに行ってるだけだよ。知らないのかい?今、ランニングするとき、テニスラケットを背負って走るのが人気なんだよ。」

僕は適当に次男をあしらう。

そもそも子供とテニスを一緒にすることは諦めていた。
いまさら一緒にやるとしても、本気で教えてあげることはできない。
なぜなら、バトミントンのフォームに支障がでてはいけないからだ。
おそらくはラケットの握り方も微妙に違うはずだ。
次男もまもなくバトミントンの大会がある。
変な影響が出てもいやだなと思った。

「ねえ、テニス止めてバトミントンにしない?」
「え?やだよ。お母さん、いいよって言ってたじゃん」

僕は諦めて、次男とテニスをすることにした。





いきなりテニスコートで、と言う訳にはいかないので、近場にあるテニスクラブのオートマチック練習機を使ってみることにした。
おそらくは、まったく対応できず、テニスをすることをあきらめるに違いない。

「やっぱり、バトミントンの方が楽しいや」
きっとそういうだろうと期待しての事だ。

テニス①


「父ちゃん、面白そう。はやくやりたい」

次男はオートテニス練習機を目にしてはしゃぎ出す。

「そうか、でも、ちょっとだけ基本をやろう」

そう言って僕は、最低限の知識を説明する。
グリップの握り方。ラケットの構えと打ち方。打つ時の足の位置と、ラケットを持たない左手の使い方。
あとは次男持ち前のセンスに任せる。
運が良ければ、一球くらいは前に飛ぶだろう。

「今日は特別だよ。」

そもそもだ、僕にテニスを教わるのは百年早い。
枯れ果てているが、曲がり形にも学生時代は東京代表だったんだ。

「始めるよ」

僕はオートテニスのスイッチを入れ、ボールの速度と飛距離を調整する。

ぽーんという音がして、そしてテニスボールが放たれる。

最初次男はまったく反応をせず、ボー然と立っていた。
どうしてよいか解らない。
きっとそう思ってのことだろうと考えた。

四球目からボールに反応しはじめる。

「あれ?」

僕はちょっと驚く。
どたばたとはしているが、スピードとボールの距離を認識したのか、有る程度反応できるようになっていた。

「上手いじゃん」

僕は言う。
次男は満足げにリターンを繰り返す。

テニス②


ラケットが子どもには重いせいもあってか、次男はボールの衝撃でラケットがぶれないように、グリップ位置を調整する。
そんな事は教えてない。
どうやら無意識での反応のようだった。

取りこぼしは多いが、ほどほど悪くは無いリターンを披露する。

驚いたのが、ボールの勢いが弱い場合、弾んだ後の上昇放物線上でボールを叩く。

「すごい、ライジングショットじゃん」

僕は爆笑する。
そして思わず手を叩いた。

極めつけはジャンピングショット。

テニス③

言ってはなんだが、僕だってできない。
エア圭みたいだ(笑)

そして、結構な時間練習機を相手に打ち込みを行い、次男は満足したようだった。
僕はと言えば、良いものを見れたので、練習上のコートで基礎打ちをじっくりと説明して、機械を使わず次男の練習を続けた。

「父ちゃん、おもしろかったね。またこようよ」

帰りしな、次男が言う。

「そうだね。今は、色々挑戦してみる方がよいかもね。だからまたこよう」

僕は、自分が浅はかだったなと反省しながらも、もしかしたらいつか一緒にテニスができるかもと淡い想像をしながら一緒に帰った。


そういう期待も悪くはないか(笑)










The Catcher in the park

県民健康福祉村②
※ 暑くなければ素敵な場所でした





● 県民健康福祉村
● 場所:埼玉県越谷市北後谷82
http://www.saitama-fukushimura.jp/front/bin/home.phtml
● 休園日:特に無し(有料施設除く)
● 開園時間:特に無し(有料施設除く)
● 料金:無料(有料施設除く)
● 駐車場:無料
● 遊び時間:半日~1日



なんとも庶民的な名前の公園だが、程良い広さの規模であり、かつ綺麗に整備されて気持ちが良い公園。

園名に違わず、遊具の類はアスレチックのみだ。
唯一ある乗り物も自転車(レンタル)で、健康作りを意識している。

屋内プールやジム、テニスコートやフットサルコート、約2キロのジョギングコースなど運動に関する設備は充実。

お父さんは運動、子供たちはアスレチック、お腹がすいいたら綺麗な湖畔でランチと洒落こむ事も可能だ。
ロケーションのレベルは高い。

是非、近場に欲しい公園だ。
自宅から遠かったが、、、、、。









夏休みのあるひ。

奥さんは仕事で、長男は部活。

残された僕と次男は、自宅でうだうだしていた。

「アスレチックがいいな」

次男が何の前触れも無く言う。

「よし、行こう」

反対する理由は無い。

唯一の不安要素としては、やけに元気な天候。
既に暑さは最高潮に感じた。

その時既に気温は30度を超えていたからだ。






「お昼御飯買って行こうよ」

僕が言う。

いつもならお弁当を持参するのだが、この日の暑さは手ごわく感じたので、出先で調達することにしてあった。

見知らぬ土地の見知らぬスーパーで、僕と次男はやけに充実した惣菜コーナーを品定めしながら回った。

「父ちゃんは、これにしようかな」

暑さのせいもあり、ガッツリ系のお弁当ではなく、ラフな類のサンドイッチを手にする。

「父ちゃん、オレはこれにするよ」

次男が差し出したのは、食べ物では無くコロコロコミックだった。

「だめだよ、それ買ったらご飯買うお金無くなっちゃうから」

僕が言うと次男はしばらく考えてから

「じゃあ、オレ、おにぎり一個でいいよ。塩おにぎりでいいから。それなら買えるでしょ?」

どうやら次男は、コロコロコミックを買ってもらいつつ、なんとか昼ごはんも確保するという落着点を、交渉の材料として提示してきた。
おにぎりも「塩おにぎり」という最廉価での交渉だった。

僕はしばらく考える。

僕はコミックに対して否定的では無い。
コミックも小説も同類項で考えているし、何も読まないよりはコミックであっても読んだ方が良いと思っている。
色々読んで、その中から自分の価値観に共感できる作品が見つけられたなら見聞も広がるはずだ。

強いて言うならば、子供のうちは、反社会的な作品と、あとはサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を敬遠してくれればいいと考えている。

「オッケー、そうしよう。でも塩おにぎり一個はだめだよ。へばってしまうから、おにぎりは二個にしよう」

そうして、僕らはスーパーで買ったお昼ご飯を車の中で食べ、再び公園に向かった。







到着してみると、決して小さくは無い公園の駐車場が、やけにがらがらなのが気になった。

もしかしたらと思い、車の中の外気温計を見る。

「38度?」

壊れてるな。
そういう土地ではあるが、さすがにそこまでの気温はないだろうと考えた。
暑すぎて、調子が悪いのだ。
そう考えると、つまりは調子が悪くなるほど暑いのだということになる。

何が正解だ?

最近そんな事ばかり考えているせいか、良く解らなくなっていた。

いずれにしても、水分と休息に気を使い、冒険に勤しむ事にした。





公園は緑豊かで、景観が綺麗だった。

それほど大きくはないが池もあった。

県民健康福祉村③

「アスレチック、あるんでしょ?」

次男は先を急ぐ。
僕は慌てて次男を追いかけた。

アスレチックに向かう途中、不思議な形の建物があった。
どうやら、屋内運動施設のようで、ドーム型の屋根を開いた場所はプールになっていた。
これは便利だ。

夏場の天気の良い日は、屋外プール感覚で楽しめる。

県民健康福祉村④


しばらく進むと、アスレチック広場にたどり着いた。
ゆったりとしたスペースは、綺麗に整備された芝生で覆われていた。

県民健康福祉村⑤

あまり見たことが無いものからチャレンジした。
勢い駆け込んで頂点を目指す。

県民健康福祉村⑥

この日、僕も普段のトレーニング用ユニフォームを着こんでいたので、一緒にチャレンジ。
のっけから、結構な運動になった。
案外、侮れないものだ。

そして、このあとは、思い思いに障害にチャレンジしていく。

県民健康福祉村⑦

点在するアスレチックはそれほど豊富ではないが、そこそこの運動にはなる。
是非、近所に欲しい施設だ。

県民健康福祉村⑧

次男が「うんてい」にチャレンジしようとした時だ。

「あっつい!!」

そう言って地面に転げ落ちた。

「父ちゃん、暑くて触れないよ」

次男はうんていを指差す。

僕もうんていに挑戦したが、おっしゃる通りで暑くて触れない。

「父ちゃんやばい、帰ろう」

次男が言う。

あまりに暑い事に今更ながら思い知らされた。

なるほど。
賢明だ。
これはちょっと、命に関わる。

僕は次男と一緒に車に向かって引き返す事にした。

途中、園内を走る為のレンタルサイクルを発見したが、係の男性がそそくさと自転車をしまっていた。
どうやら、熱中症対策としてレンタル中止の緊急事態のようだ。

県民健康福祉村⑨

こうなると、暑さが身にしみるように感じてきた。

「よし、退散」

僕と次男は車に駆け込み、本日の冒険を早々に終了させた。











付録



僕はお酒が好きなのだが、かと言って強いわけではない。
缶ビール(発泡酒)を3本もあければ、そこそこ立派な酔っ払いになれる。

大概ご機嫌で、ごろごろしながら夢うつつな頃あいに、決まって読むのが、ベルンハルト・シュリンクの「朗読者」かサリンジャーの「ナインストーリーズ」だ。

、、、、と言う話を以前も書いたかもしれない。

ナインストリーズ

短編集であるナインストーリーズは、とりわけ「バナナフィッシュにうってつけの日」がお気に入りだ。

とは言っても、都合の良いことに、僕は何度読んでも作品の内容が覚えられない。
だから、何度でも読めてしまうという訳だ(笑)


これも以前にも書いたかもしれない。

サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」は傑作だ。

僕は学生時代、一度読もうと思って、けれど取りやめている。
結局、どこにでもいる普通の大人になった頃に再び手にした。

読後、読むには頃合いだったなと思い、そして若い時に読まなくて正解だったなと改めて思った。

主人公は男子高校生で、一人称で進行するが、作品世界は対極する「正解」を描いている。

この二つの「正解」は、作品の性質上主人公側から受けるインパクトの方が強い。
そしてそのインパクトが強いが故、影響を受けたとされる人たちによる、実際に起きた幾つかの事件は、本書がトリガーと言われたり、バックグラウンドだと言われたり、猟奇的事件の因果関係としても、この作品を有名にしていった。

因果関係として取り沙汰される一番有名な事件は、ジョンレノンの射殺事件だろう。
犯人はジョンレノンに対し発砲を行った後、現場の歩道に座り込み、警察が到着するまで本書を読んでいたというエピソードは有名だ。

大概、作品から読み取られたメッセージは「片側」の世界の「正解」だ。

この危うい対極を、少ない経験値で読破してしまうと、真理を見失うのではないかなと感じている。

いや、まあ、そこまで真剣に真理を欲している訳ではないので、どうでもよいと言えばどうでもよいのだが、何事も真剣に考え、清潔で純白な世界など存在しない事に失望するような年頃では、受け止め方が全然違うだろうなと、考えたり。

世間に対して失望する(三行半をくらった)少年が、俗世を嫌い、けれどなんとか馴染もうとするも、どうにもうまく取り回せず、価値観の合わない世間との折り合いを見つけ出す事をあきらめ、世捨て人として生きることを決意するも、結局は無垢な子供の純粋さが存在するのはこの俗世なんだな、と、元の世界に戻っていくお話。

未読の方。
読むにはそろそろ頃合いです。

ライ麦


ちなみにお勧めは、「野崎 孝」訳版。

出版されてから50年以上経過しているが、古びた感じはしない。
つまりは機械的に翻訳されたわけでは無く、訳者のセンスがとびきり優れていたということか。

可能なら、「村上春樹」訳ではなくこちらをお読み頂くとよろしいかと。

尚、表紙のイラストは「ピカソ」です(笑)





必要な勇気を探しに











休日。

奥さんはパートで、僕は自宅にこもり、掃除やら洗濯やら何やらの家事をこなしていた。

いつもそうなのだが、やり始めると終わりの無い家事はなかなか手ごわく、けれど、案外嫌いではないので、日がな一日勤しんで過ごす。


「迎えにきてくれる?」

夕方、奥さんから連絡が入った。

「行きたいところがあるんだ」

そう言っていた。

「OK、仕事、終わりそうになったら連絡して」

僕はそう言って身支度を始めた。




「お待たせ」

待ち合わせの場所に停めておいた車の窓を開けると、奥さんはそう言い、そして「はー、疲れた」と笑いながら助手席に座った。

「どこに行きたいの?」

僕は尋ねる。

「う~ん、よく解らないんだけど、だいたいなら解るかな。とりあえず北に向かって走ってよ」

てっきり、夕飯の食糧買い出しに行くものと思っていたが、どうやらそうではなさそうだった。
解せないまま、僕は車を走らせた。
行き先はどうでもよかったし、久しぶりに奥さんとのドライブを楽しむ事にした。





「ああ、ここみたい」

奥さんはそう言って車を降りた。
街道から山中に続く脇道に入ると、道は驚くほど狭くなった。
所々でキャーとか言いながら、奥さんは車の中で身を縮める仕草をした。

「なんだか、不思議なところだね」

僕が言う。
それは景観というより、漂う雰囲気からの感想だった。
夏の暑さはそのままだったが、その暑さを感じさせない不思議な空間になっていた。

「・・・不動尊て書いてある」

「そうみたい」

奥さんは何かで聞いたか、見たかで、つまりはご利益がありそうだと興味を持ち、ちょっと行ってみたいなという好奇心から僕を誘ったようだった。

停めた車から少し歩くと、程無く目的の場所にたどり着いた。

そして雰囲気の不思議さは、むしろ神秘的なものに変わっていった。
ひぐらしの鳴きごえと、そして人の気配が一切無い事も、感覚を研ぎ澄ます要因のひつになっているのかもしれない。

ぼくは少々たじろく。
雰囲気に押され入口付近で立ち止まっていたが、奥さんは遠慮なく中へと入っていった。

不思議な場所

名前の知らない花々が敷地の中で咲いていた。
それは無造作に散らばりながら咲いていたが、廃墟のような野放し具合ではないことが解った。
敷地はとても綺麗に整備されていて、ゴミも雑草もなかったからだ。

「せっかくだし」

奥さんはそう言いって、御賽銭箱に小銭を入れて鈴を鳴らした。
少し御祈りをして、そして入口付近に立ち止まったままの僕のいる場所に戻ってきた。

「不思議な場所だね」

奥さんが言う。
僕は、不思議というのとちょっと違った印象を持っていた。
けれど適切な表現が思いつかなかったので黙ったまま頷いた。

「なんか、奥に行けるみたい」

細い路地が裏山に続いているのに気が付いた奥さんは、そう言いながら歩きはじめる。
僕はちょっと考えて、けれど奥さんの後を追いかけて裏山に続く道に入った、。





僕は再び立ち止まる。
目の前には想像していない世界が広がっていた。

「なんだか、すごい」

思わず僕はそう言った。
奥さんは、目の前に広がる景色をゆっくり眺めながら、奥へと歩き続ける。
不思議な景観の中を行く奥さんを、僕はしばらく眺めていた。

僕の中に、表現ができない感情があった。
それは、表現する言葉を持たない感情だった。

僕はしばらくその場に立ち止まっていたが、奥さんを見失ってしまいそうになり、あわてて後を追いかけた。

不思議な場所②





さらに奥に進む。
けれど、不思議な世界は終わらない。

それより、何か神聖な空気感が強まっていく。

「これ、飲んでよいのかな?」

奥さんは山の斜面にあった湧水を指差した。

「どうだろう?解らないな、、でも、手を清める事は良いと思うよ」

「じゃあ、そうしよう」

奥さんはそう言って手に水をかけた。
奥さんは一言も感想を言わなかったが、その水は驚くほど冷たかった。

不思議な場所③



僕が手に水をかけて、その水の冷たさに驚いている中、奥さんは山の斜面を登る階段を上がっていった。

不思議な世界の不思議な入口のように感じた。
僕はスマートフォンをポケットにしまう。
ここから先、写真を撮るのは止めた方が良いかなと直感的に感じたからだった。

階段を登った先には幾つかの祠があった。

「ここ写真撮影禁止だって書いてある」

僕は黙って頷く。

奥さんは幾つかの祠をめぐり、急な斜面に点在する石造を眺め、その中にあるいくつかの十字架を不思議だと言いながら、やがて階段を下りていった。

正直に言うと、僕はその先に続く道をさらに奥に進んでみたいと思っていた。
けれど奥さんは「もう、帰ろうか?」と言って、来た道を戻っていった。



「ちょっと、イメージが違うかな」

車に乗り込むと奥さんはそう言った。
どんなイメージがあったのか解らないが、何もイメージを持っていなかった僕はなかなかに衝撃的な場所だった。

「さ、帰ろうか。子供たちお腹すかしてるよ」

奥さんはそう言って、「今晩何にする?」と言いながら、ニコニコしていた。

「作ってくれるんでしょう?」

笑いながら、「帰ろ帰ろ」と言い音楽をかけた。


「僕たちはきっといつか
遠く離れた太陽にすら手が届いて
夜明け前を手に入れて笑おう

そうやって青く燃える色に染まり
おぼろげな街の向こうへ
手をつないで走っていけるはずだ」



最近奥さんお気に入りの米津玄師、次男が好きなヒーローアカデミアの主題歌を聞きながら、僕らは自宅へと向かった。

次男はミライセンシのヒーローになった。
僕と奥さんは夜明け前を手に入れて、手をつないで走っていけるだろうか?

そんな事はお構え無しに、夕日は綺麗で、明日の天気を約束してくれていた。

僕と奥さんはおぼろげな街に向かって、歌いながら帰っていった。




いらっしゃいませ
プロフィール

kakeru666

Author:kakeru666
-
子どもたちとのお出かけ記録。

これからの方々の参考になれば幸いです。

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