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丸の内でマルキ・ド・サディスティック





職場での飲み会。

僕はあまり参加することがない。
こだわりや事情があっての事ではなく、まあ、正直、興味もなく、、、、。

卑屈に言えば、僕がいてもいなくても地球は回るし。



その日、ほんの気まぐれで職場の飲み会に参加した。
大概、大人数であり、大概、勤務地の都合上、東京駅付近で行われる。


身の丈にあった座席を選び、宴会の席とはいえ借りてきた猫のように大人しく、チビチビとビールを頂く。


進行にあわせ、やがて皆座席を移動したりして、さらなる盛り上がりをみせる。

僕はといえば、移動も億劫なので根付いたまま淡々と過ごす。
つまらないと思うわけでもない。
単に、文字通り億劫なだけ。

大概そう。


けれど、この日、ほんの気まぐれで、別のテーブルに移動してみた。


入社2、3年目ぐらいだろうか?
若い女性社員の隣が空いていたので、グラス片手に席につく。
まわりも皆女性社員。

想定外の人が来た、、、という空気が漂って、ちょっと僕は笑ってしまった。
どう取り扱いしたらよいものか?という表情を汲み取り、僕の悪戯心に火がつく。

実際、普段話しをしたことがほぼ「皆無」の女性社員たち。
正直、名前もうろ覚えだった。


余談だが、僕は仕事と直接関係無い話を女性社員の方々とすることはほぼ無い。
逆に、男性社員とは、仕事中でもくだらない話などを楽しんだりする。
なので、僕に関するちょっとグレーな噂を耳にしたり(爆笑)


それもあって、僕が隣に来たときの空気感は面白すぎだった。


気をてらって、僕はわざとかしこまる。
隣の方に向かい
「えーっと、ご趣味は?」
と声をかける。

きょとんとした表情でしばらく言葉が無い。

「あ、え、読書です」

優等生回答が返ってきた。
なので、質問を続ける。

「一番好きな作家って誰ですか?」
「マルキ・ド・サドです」
「は?」


想定外の回答に今度は僕は固まった。
サド侯爵?

「マルキ・ド・サドって、あのサドマゾのサド?」
「はい」
どこが面白いのか?という野暮な質問はしなかった。
この勝負、僕の負けである。

「僕は、サドよりもバタイユの方が好きだな」
「ああ、眼球譚とか?」

もう、笑うしかない。

「そうだね、マダム・エドワルダのほうが好きかな」

以前より、一度はバタイユで一杯やりたいと思っていたのだが、こんな形で願いが叶うとは思わなかった。

そんな感じで、流れ的にバスティーユ牢獄とかフランス革命とサド侯爵の都市伝説とか他愛もないが、周りを置き去りにする話題で盛り上がった。

とはいえ、気がつくとスコット・フィッツジェラルドとか、まあまあ普通の娯楽小説ネタに落着していったが。

ちょっと驚いたのが、日本作家の話となり、僕が一番好きな作家として「倉橋由美子」の名前を出したときに、「聖少女」という作品名が即座に返ってきたときだった。
これまで、幾度かの読書ネタで会話をしたことがあったが、倉橋由美子を知っている人に出会ったのは初めてだった。

たまには飲み会に出るのも悪くはないな、、と思った日であった(笑)




***


表題は椎名林檎の「丸の内サディスティック」より。
デビューアルバムに収録されている。
丸の内①



椎名林檎の曲の中で一番好きかな。

タイトルは「マルキ・ド・サド」をもじってつけられているのかな?と個人的に思い込んでいる。
真意はわからない。

歌詞は関連性の無い言葉の組み合わせに聞こえるが、「ブランキージェットシティ」というバンドの浅井健一個人への敬愛を歌ったもの。
丸の内②


何にしても、林檎は大好き。


マルキ・ド・サド。
大概の人は読まないだろうし、読んでもただの変態小説にしか思えないかも。
丸の内③

それで良いと思うです。

フランス革命前夜、バスティーユ牢獄に投獄されていたサド侯爵が民衆に向かい「囚人を殺している!」と叫んだ事がトリガーとなったという都市伝説がある。
まあ、背徳の代名詞。

時代は違うがバタイユも、「死」と「エロス」を根源的なテーマにしている変態作家だ(笑)
丸の内④


倉橋由美子
中学の頃初めて読んで、それいらいのファンである。

村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読んだとき、なんて面白いんだろう、、と思いながらも、倉橋由美子の「スミヤキストQの冒険」や
丸の内⑥

「アマノン国往還記」が僕の中で連想され、村上春樹はすごいなと思いながらもオリジナリティを感じない作家として認識してしまっている。
丸の内⑤


倉橋由美子は文学的要素が強い分、大衆作家として認識さていないのかも知れないが、晩年は小難しさがそぎ落とされ、少し僕のような大衆よりに傾向が変わっている。

単行本としては最後の作品となった「よもつひらさか往還」は、とても読みやすく優しい作品でお勧め。
丸の内⑦

タイトル通り「黄泉比良坂(よもつひらさか・・・日本神話の現世と死者の世界の境界にある坂)」を往来して進行する、ロマンチックな物語。


いずれの作家も「エロチシズム」をエレメントととしている。
ただ、倉橋由美子は耽美かつ幻想的で、フランス文学の先人とは一線を画す。

結局誰がお勧め?といわれれば、文句無く「倉橋由美子」です。
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No title

グレーゾーンから…確定?
と、冗談はさておきの楽しい宴席でしたねw

記事タイトルから「椎名林檎キタコレ?」と
興味深く読ませていただきました

「ラット一つを商売道具~」という歌詞にある
ラット(RAT)はギター用エフェクターです

ダイヤルが3つ付いたアナログ調整の
ディストーションがサディスティックな
浅井健一サウンドを生み出して…
いるのでは、と思います

電車通学・通勤から離れて20年…
活字の本離れが進んでおりますが
倉橋由美子さん作品は読んでみたいです

Re: No title

aonekopapa 様

コメントありがとうございます。

倉橋由美子さんの作品は、もしかしたら本屋さんでは売ってないかもです。
図書館にはあるかな・・・

晩年は、結構俗的な傾向になっていて、むしろオリジナルティがそがれていってます(笑)

けれど、油の乗っていた若い頃の作品は、エッジがきいていて読み応えは抜群。

僕が初めて手にした作品は「暗い旅」という作品で、中学生のときに読みました。

それまで読んでいた作品とはまったく違う毛色に衝撃を受けました。
今読んだら、たいしたことないかもしれませんが、、、(笑)

この作品は「いわく」つきの作品です。

興味があれば、その「いわく」を含め、ぜひ。



丸の内サディスティック。

僕は「めったに」カラオケなどしないのですが、社会人故避けられない状況もありますよね、、、
そんな際、十八番として歌います(爆笑)

キーは変えません(笑)

もはや目を瞑っても歌えます(えっへん!)
いらっしゃいませ
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これからの方々の参考になれば幸いです。

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