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中華屋さんにて







「食べたいアイスはあるかい?おじさんが御馳走するよ」


近所の中華屋さんで、食事が運ばれてくるのを待っていた時だ。
見知らぬお客さんが、子供たちに話しかけた。

子供たちはびっくりして、僕と奥さんの顔を交互に眺める。

「俺は子供が大好きなんだ。御馳走してやるぜ」

僕も奥さんもきょとんとした。
ガテン系の威勢のいい感じの人で、少々酔っぱらっているようでもあった。

「ありがとうございます。けれど結構です」

僕はそう言ったが、その男性は気を悪くすることもなく、「かまわないよ」と言って、子供たちに好きなアイスを選ばせた。

悪い感じの人ではないという雰囲気をまとっていたので、僕と奥さんはお礼を言い、御馳走になることにした。

「子供は可愛いよなぁ。お父さんとお母さんの言う事ちゃんと聞くんだぞ」

そう言って自分の席に戻って行った。
その男性は、同僚の、恐らくは後輩か部下の男性を連れていて、席に戻ると少々の説教を相手の男性に向けて語りはじめた。

「俺たちは仲間だろ。ちゃんと言うんだよ。心配するんだから」

そんな感じの愛情のある説教を続けていた。



この日、子供たちはラーメン&チャーハンセットを頼んだ。
量が多いので、チャーハンは長男が、ラーメンは次男が、という具合に一人前を二人で分けて食べた。

奥さんは刀削麺と牛肉の何だかのセットとビールを頼み、僕はビールとつまみを二品頼んで晩御飯とした。

中華屋さん_②


「餃子は美味しくないよ」

そう奥さんから教えられて頼むをやめたが、この日頼んだ油淋鶏はとても美味しかった。




アイスを御馳走してくれた男性は、帰りしな、お店の人に頼んだタクシーが来るまで、僕らの席に来てしばらく子供たちと話をして過ごした。

長男に、
「最初、女の子かと思ったよ。男の子だったんだな」
そう言って笑った。

タクシーが来ると、
「ほれ、小遣いだ」
と言って、手持ちの小銭をありったけテーブルに置いて立ち去った。

さすがにこれは無いなと思い、返却を試みたが、男性は笑いながら去っていった。



「コンビニ行こう」

奥さんが言う。

「コンビニに行くと、おやつを買ってもらえるって聞いたけど」

奥さんは子供たちの顔を覗き込む。

「父ちゃんも行こうかな」

「駄目だよ。僕らが貰ったお小遣いなんだから」

長男はせっかく手にした小銭が狙われていると警戒する。

「アイス買おう!アイス」

次男はなんだか良くわからないけれど、好きなおやつが買ってもらえるんだとご機嫌だ。
ついさっき、アイスを食べたばかりなのはもう忘れてしまったようだ。


「あはは」と奥さんは笑って、そして皆で夜の道をコンビニ目指して散歩した。

夜風は秋のそれ。

優しく、穏やかで、心地良かった。

中華屋さん_①


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No title

こんにちは~♪

読んでいて、子供の頃の、昭和な一幕の
記憶を思い出しました

北九州市特有の話かも?ですが
町の酒屋さんには「立ち飲みコーナー」が
あってカウンターでマス入り日本酒とか出ます
ツマミは、サキイカやタタミイワシなど、
店で売ってるものを買って

子供の頃に、父親に連れられて妹と一緒に
よく出入りしておりましたところ「見知らぬ大人」
から、お菓子をいただく事もありました
酢コンブとかツマミ兼用なモノが多かったかも(笑)

おっちゃん達は、口調も荒く、見た目も怖いけど
けっこう子供好きだったと思います

肩から手首にかけて「お絵かき」してますが、
差し出した手のひらには、アメ玉がありました




Re: No title

aonekopapa 様

コメントありがとうございます。

今時分、少々戸惑ってしまいますが、古き良き人情沙汰の一幕の様で、自分でも面白いエピソードだなとおもいました。

小さな地元の飲食店ならではでしょうか。
ファミレスだと、多分こういう事はなさそうなイメージです。

いずれにしても小粋なおじさんでした。
いらっしゃいませ
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子どもたちとのお出かけ記録。

これからの方々の参考になれば幸いです。

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