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エースを狙え!









「とうちゃん、オレ、テニスをしてみたいんだ」


次男が唐突に言う。

いつだってそうだ。
予測していない言葉に僕はいつも翻弄させられる。

いいかい、僕は血液型はA型で、しかも典型的なタイプなんだ。
想像していない発言には上手に対応できない。
しかもテニスとは、、、、。

それは休日の事。

その日は奥さんがパート仕事で、僕はと言えば、掃除を終えた後、取りこんだ洗濯物を畳みながら夕食は何にしようと考えていた時だった。
いつだってそうだ。
僕は予定を立てて行動する。
なぜなら、予定がたっていないと不安になるA型だからだ。

「だめだよ、父ちゃん、これから晩御飯のしたくがあるし、お母さんだってもうじき帰ってくる。しかもお腹を空かしてだよ。ご飯の準備ができてなかったから、この世の終わりみたいに肩を落とすよ」

実際にそうだ。
奥さんと次男は、大概の事には我慢ができるが、空腹だけは次元が違う。
お腹がすいたら、急ぎの予定をキャンセルしてでもお腹を満たすことを優先するのだ。

僕はいつだって翻弄させられる。
空腹を満たすことが優先され、予定が容赦なく書き換えられる。
もう一度言うよ。
僕はA型なんだ。
しかも典型的なやつ。

「えー!やりたいやりた」

次男が駄々をこねる。
それもかなりこねくり回し始めた。

どうしたものかと僕は思案する。
洗濯物をきちんと片づけ、てきぱきと夕食の準備を行い、そしてのんびりとお風呂に入って、あとは奥さんの選ぶテレビ番組を見ながら楽しく話をするのだ。
世の中の幸福とはそういうもので、それが平和的な家庭だと考える。

「だめだよ」
「えー、じゃあ、お母さんが帰ってきて、聞いてみる。いいよって言ったらいいでしょ?」

うーんと僕は腕組をする。
もうすぐ隕石が地球にぶつかる。さてどうしたものか?と考えるように。

「まあ、じゃあ、そうしよう。お母さんに聞いてみてよ」

そう言って僕は洗濯物の後始末を続けた。




「行ってきなよ。ご飯やっとくから」

仕事から帰ってきた奥さんは、テレビゲームのスイッチをONしながら気軽にそう言った。
わーいわーいと次男が飛び跳ねる。
許可は下りたが、僕はしっくりしていない。

奥さんも長男も次男もバトミントンをやっている。
だから、バトミントンをがんばって欲しいと思っているし、その為の援助は惜しむつもりはない。

本当の事をいうと、長男にも次男にもテニスをやらせたかった。
けれど、奥さんが好きなバトミントンを家族共通の趣味として選択した。
そして、僕はテニスを家族で楽しむ事を封印したのだ。

とは言っても、僕はいつもこっそりとテニスの練習を一人で行っている。
休日の夕方には、公園で、なかなか寡黙な壁を相手に、ボールをぶつけてはラケットを捌く。
フットワークに衰えが来ないように、いつだって、声さえかかれば試合にでれるように仕上げているつもりだ。

「父ちゃんは、テニスができるんでしょ?」

次男が言う。

「いや、できないよ。父ちゃんはバトミントンの方が好きだし、テニスなんかよりバトミントンをがんばって欲しいと思っているよ」
「えー、でも、休みの日、いっつもテニスラケット背負ってどっかにでかけるじゃん」
「父ちゃんはランニングに行ってるだけだよ。知らないのかい?今、ランニングするとき、テニスラケットを背負って走るのが人気なんだよ。」

僕は適当に次男をあしらう。

そもそも子供とテニスを一緒にすることは諦めていた。
いまさら一緒にやるとしても、本気で教えてあげることはできない。
なぜなら、バトミントンのフォームに支障がでてはいけないからだ。
おそらくはラケットの握り方も微妙に違うはずだ。
次男もまもなくバトミントンの大会がある。
変な影響が出てもいやだなと思った。

「ねえ、テニス止めてバトミントンにしない?」
「え?やだよ。お母さん、いいよって言ってたじゃん」

僕は諦めて、次男とテニスをすることにした。





いきなりテニスコートで、と言う訳にはいかないので、近場にあるテニスクラブのオートマチック練習機を使ってみることにした。
おそらくは、まったく対応できず、テニスをすることをあきらめるに違いない。

「やっぱり、バトミントンの方が楽しいや」
きっとそういうだろうと期待しての事だ。

テニス①


「父ちゃん、面白そう。はやくやりたい」

次男はオートテニス練習機を目にしてはしゃぎ出す。

「そうか、でも、ちょっとだけ基本をやろう」

そう言って僕は、最低限の知識を説明する。
グリップの握り方。ラケットの構えと打ち方。打つ時の足の位置と、ラケットを持たない左手の使い方。
あとは次男持ち前のセンスに任せる。
運が良ければ、一球くらいは前に飛ぶだろう。

「今日は特別だよ。」

そもそもだ、僕にテニスを教わるのは百年早い。
枯れ果てているが、曲がり形にも学生時代は東京代表だったんだ。

「始めるよ」

僕はオートテニスのスイッチを入れ、ボールの速度と飛距離を調整する。

ぽーんという音がして、そしてテニスボールが放たれる。

最初次男はまったく反応をせず、ボー然と立っていた。
どうしてよいか解らない。
きっとそう思ってのことだろうと考えた。

四球目からボールに反応しはじめる。

「あれ?」

僕はちょっと驚く。
どたばたとはしているが、スピードとボールの距離を認識したのか、有る程度反応できるようになっていた。

「上手いじゃん」

僕は言う。
次男は満足げにリターンを繰り返す。

テニス②


ラケットが子どもには重いせいもあってか、次男はボールの衝撃でラケットがぶれないように、グリップ位置を調整する。
そんな事は教えてない。
どうやら無意識での反応のようだった。

取りこぼしは多いが、ほどほど悪くは無いリターンを披露する。

驚いたのが、ボールの勢いが弱い場合、弾んだ後の上昇放物線上でボールを叩く。

「すごい、ライジングショットじゃん」

僕は爆笑する。
そして思わず手を叩いた。

極めつけはジャンピングショット。

テニス③

言ってはなんだが、僕だってできない。
エア圭みたいだ(笑)

そして、結構な時間練習機を相手に打ち込みを行い、次男は満足したようだった。
僕はと言えば、良いものを見れたので、練習上のコートで基礎打ちをじっくりと説明して、機械を使わず次男の練習を続けた。

「父ちゃん、おもしろかったね。またこようよ」

帰りしな、次男が言う。

「そうだね。今は、色々挑戦してみる方がよいかもね。だからまたこよう」

僕は、自分が浅はかだったなと反省しながらも、もしかしたらいつか一緒にテニスができるかもと淡い想像をしながら一緒に帰った。


そういう期待も悪くはないか(笑)










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No title

こんにちは~♪

ラケットを背負ってランニング(笑)
誤魔化しが効かないお年頃ですね

自分の得意な事を子供にはやらせたくない、
という部分はよく分かります
自分の場合は「徹底的に本気」になってしまい
そうな気がしますから

でも、部屋に何本もギターを飾ってあっても
全く興味を持ってくれないのは悲しいかな(笑)

テニスはルールすら分かっておりませんが
浦沢直樹の「HAPPY!」は読んだことあります

浦沢氏のTwitterに大坂選手のイラストが出てました
日本人として初の快挙ですし、夢がありますよね♪

https://twitter.com/urasawa_naoki/status/1038626346677587968

Re: No title

aonekopapa 様


コメントありがとうございます。

僕はどちらかというと、僕の得意なものを同じように取り組んでくれたらなぁ、、、と思ったり(笑)

理由は、「教えてあげられるから」

ですが、長男も次男もバトミントンを一生懸命にやっているし、せっかくなのでやりきって欲しいなと。
なので、ほかの事に興味を持たず一途にがんばって欲しいと思っております。

テニス同様ラケットを使うスポーツではありますが、ラケット捌き、フットワーク、ポジショニング、打点、体重移動などなど微妙に違うはずですし、その微妙な違いが大きく何かに影響が出てはいけないと考えたり。
きっと、突き詰めていくと、この「微妙」で「繊細」な違いはとても重要な要素になると考えてます。
頂点で戦う時、この紙一枚分の違いが悪い影響を出す可能性があるので、僕はテニスをやらせるのにずっと反対してました。

まあ、これは、僕がバトミントンをやってみた感想でもあります。
あまりに違うスポーツであり、テニスの概念で取り組むと出来ない事が多すぎました(笑)

共通するものがあるとすれば、試合運びとフォーメーションかなぁ。。。。

バトミントンの事は良く解りませんが、テニスは時々「将棋みたいなんもん」と言う人がおります。

それは有る意味その通りで、サーブを打った瞬間に、プレーヤーからすると、数打のやりとりは既にコースが決まっています。
パット見、テニスはボールを打ち合っているように見えますが、実は両者頭の中で既に数本先のボールを返すコースも球筋も決まっていて、そのイメージ通りに運べた方がポイントが取れるという、実は見えない戦いのゲームです。

より難しいコースを打つ技術があれば、より相手を術中に陥れる事ができ、有利にゲームを運べます。


例えばで言えば、良く見かける光景として、プレイヤーが立っている位置の真逆のコースを突かれ、ボールに触れないでポイントを取られるシーンがあったりすますが、これは実は数本前のプレーで既に決まっていたります。
所謂、相手の策にはまるというやつで、逆もまたしかり。

自分が今何ポイントとっているのか?も打つコースに影響を与えます。

自分事で恐縮ですが、僕はダブルスの時、自分達のポイントが相手と何ポイントあるかで、サーブのコースやストロークのリターンコースを数パターン決めてました。
なので、ダブルスのペアはサーブから3本先に僕が打つコースを知っていて、そのーコースに合わせて自分の立つポジションが最適になるようフォーメーションをとっていました。

まあ、こんな感じで、実はテニスはサーブの瞬間に、もしくはそのサーブをリターンした瞬間に、ゲームの終わり方が決まっています(笑)


この駆け引きが最大の醍醐味で、そして、そういったプレーができるようになるには、紙一重の技術力が必要になったりします。
まあ、うちの兄弟には次元が高いレベルの話ですが、そんな紙一重の到達点が遠のくような事は避けたいな、、、なんて考えてました(笑)
親ばかですね。

世界の頂点に立った大坂選手は、あらゆる紙一重のスキルを最大限に発揮しての快挙と思います。
少なくとも先の大会では、全ての選手の中で、技術、戦術、体力、精神力、のバランスが最高であったといことかと思います。
誰も彼女の事を評価することはできません。
なぜなら、彼女より優れた人はいないのですから(笑)
素直に、「すごいなぁ、、、」と思いました。

好きな事だと長くなるなぁ、、、、文章。
いらっしゃいませ
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kakeru666

Author:kakeru666
-
子どもたちとのお出かけ記録。

これからの方々の参考になれば幸いです。

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