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ドナドナが聞こえる







「大変!ハンドルが動かない!」

定時前、職場でエクセルと睨めっこをしているさなか、奥さんから電話があった。

突然の説明で、要領が得なかった。
けれど、とにかく気になったので僕は尋ねた。

「それって、まさか車で走ってる最中じゃないよね?」
「いい?そのまさかよ。走ってるの!電話は子供が持ってて、スピーカー通話にしてる。とにかくハンドルが曲がらないの!」

「ええっ?!」

一大事だと言うことは直ぐに理解できた。けれど何が起こってるのかよくわからなかった。

「車、直ぐに停められる?大通りでも構わないから、直ぐに停めて!」

僕も慌てる。
何はさておき車は停めないとならない。

「停めた方がいい?」
「勿論、直ぐ停めて!」

携帯からは、子供たちの慌てふためく声と、奥さんの「あー、ハンドルがぁ、、」の声が聞こえてきた。

状況は尋常ではなかったが、奥さんは裏通りに入った所に車を停める事ができたようだった。
僕は一安心し、状況を改めて確認することにした。

「ハンドルが全然動かないの?」
「ちょっとは動く。だけど、停まったら全然動かない。あと、バッテリーランプが点いてる」

なる程と思った。バッテリーの蓄電容量が少なくてパワーステアリングが機能していないのか。

「バッテリーが上がりかけてるのかも?ちょっとその場でエンジンかけっぱなしで様子みようか」

僕が言う。
奥さんはしばらく黙った。

「それよりマクドナルドいこうよ。お腹が空いたし」

長男の声が聞こえた。

「どんだけ馬鹿?それどころじゃないの解らない?」

奥さんが声を荒げた。
僕は電話口でクスッと笑った。
何より、惨事にならないで良かったと思った。

「爆発したりしないよね?」

奥さんが言う。

「大丈夫だよ。ちょっと様子みよう。十分位したら電話するよ」

そう言って僕は電話を切った。





「どう?」

再び電話をかけて、僕は尋ねた。
すると、想定にない回答が返ってきた。

「だめ、まだハンドル動かない。それより変なマークのランプが点いた」
「え?どんなの?」
「ヨット」
「ヨット?」

僕は何の事か理解できなかった。

「写真、送ってよ。何のことか解らないから」

程なく奥さんから写真が送られてきた。
なる程。
確かにヨットだ。

ただ、状況は悪化しているのも解った。

201810222154537e5.jpg

どうやら、エンジンを冷やす為のファンが回っていない事が想像できた。
つまりは、オーバーヒート手前だ。

「車、動かしてもいいかな?」

奥さんが言った。

「目的地は近い?」
「うん、すぐそこ。行けるかな?」
「走ってみようか?ハンドルどう?」
「走ると少し動く」
「オッケー、慎重に行こう。電話切らないでよいから、走っちゃって」

暫く奥さんが重たいハンドルと格闘している声が続いた。
けれど、程なく目的地にはつくことができた。

目的地は体育館で、その日の夜に次男が出場するバトミントンの大会が開かれる場所だった。
たまたま早めに目的地に向かっていた為、次男は無事に大会に出場する事ができた。

「体育館の人に、事情を話して車おかせてもらってよ」
「うん。そうする」

奥さんはそう言って電話を切った。



数日後の土曜日。
僕は車を見に、バトミントンの大会があった体育館に向かった。
運の悪い事に、その日は雨で気分をどんよりとさせた。

扉のロックを解除し、スライドドアにてをかけると、予想外にも自動で扉が開いた。

なる程。
何とか走れた訳だ。
バッテリーはまだ死んではいないようだった。

僕は運転席から、ボンネットを開けるレバーを引っ張った。
ボンと音がしてボンネットが少しだけ持ち上がる。

「ああ、やっぱり」

エンジンルールを覗き込んで、そして僕は肩を落とした。

発電を行うオルタネータのベルトが、なかなか無残な姿で切れていた。

20181018204518005.jpg

原因はわかったが、さてどうしたものか?と思案しつつ、僕はダッシュボーを開けた。
しまってあった自動車保険証をひらき内容を確認する。
もしかしたらロートサービス特約を契約してあるかもしれなかったからだ。

そして、そのあては良い方に的中した。
レッカー代だけではなく、何ならタクシー代も宿泊代も規定範囲内は無料だった。

保険会社に連絡すると、程なくレッカー車が駆けつけた。
どこからきたのかわからないが、一時間もかからなかった。

搬送先は最寄りのディーラーとした。
行ったことはなかったが、ディーラーなら間違いないだろうとおもったからだ。

勿論、事前に電話をして許可は貰っておいた。

車は雨の中、荷台に乗せられて運ばれて行った。

なんとなくドナドナを思いだした。

20181018204713f83.jpg


安心しろ。
直ぐに迎えにいく。

だからまた、元気になって僕らを冒険につれていってよな。




追記。

車がレッカーで搬送された後、体育館の方にお礼を伝えた。
とても親切に対応頂いた。
感謝致します。



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ドナドナが聞こえる

こんにちは~

大変な目に あっちゃいましたね~。
奥さん、とても驚かれた事でしょうね~。

私もですね、20年程前、
初代のインスパイア(ホンダ)に乗っていまして
浜松市の繁華街の交差点の ど真ん中にて
電気系統が全て 消えたという故障がありました。

電気系統が落ちた為、エンジンはもちろんエンスト、
ウインカも出ない、ハンドルはオモステになる、全面パネルは全て消える・・・
メチャ怖かったですね。

パニックにはなっていましたが
判断は冷静にしてまして 『電気系統が故障した』っとすぐに思い
ウインカが出ない事も オモステになったのも
状況がすぐに分かりました。

フットブレーキも効きにくくなった為、前のクルマにぶつからない様に
サイドブレーキと惰性でなんとか交差点を出て 横に寄せたのですが、
唯一パニクッたのは、止まるちょっと前にパーキングに入れてしまったんです。
(走行中、通常はパーキングに入る事はないのですが・・・)

何の音か分かりませんが
『バキバキバキバキッ』っという凄い音がして
やっと止まりました。


しかし、kakeruパパさんのクルマの
オルタネーターのベルト、なぜ切れたのでしょうね?
経年劣化かな?それとも、今年の台風の影響の塩害?

kakeruパパさんも知っているかも知れませんが、
トヨタの場合、ネッツやトヨペット、カローラ関係無しに
全国どこでも対応可能となっていますので
最寄のディーラーさんを探すのも良いと思いますよ。



Re: ドナドナが聞こえる

tomパパ 様

コメントありがとうございます。

tomパパ様も、なかなかのピンチをご経験ですね。
無事でなにより。

ベルトは経年劣化です(笑)
なにしろ、中学の長男が生まれた時に買ったやつですし。

しかし、ちゃんとチェックしとくべきでした、、、。

命にかかわりますしね。

因みに、結果、バッテリーも死にまして(笑)
ベルトとバッテリーが新品となりました。

治った車をとりにいくさい、長男が同行してくれました。
自宅からひたすら二人出歩きました。

昔ねように余り話したりしてくれませんが、それでも時折笑い話など聞かせてくれたり。
壊れた車に感謝ですね。
長男と二人だけの貴重な時間をすごせましたので。

さすがに中学ともなると、父ちゃん、父ちゃんとならなくて(笑)

いらっしゃいませ
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kakeru666

Author:kakeru666
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子どもたちとのお出かけ記録。

これからの方々の参考になれば幸いです。

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